読めばおもしろい本

読めば絶対おもしろいとわかっていて、読んでいない本が何冊かある。
おもしろい本を読まないと、やっていけないような時のためにとってあるのだ。
物語に身を委ねていれば、何もかも忘れるような本。
そういう本の一冊であった『狐笛のかなた』をとうとう読んだ。

狐笛のかなた (新潮文庫)

狐笛のかなた (新潮文庫)

霊狐の野火があわいを駆けるように、一気に読み終わる。
あーあ、読んでしまった。


何年か前、同じ作者の『獣の奏者』を読んだ時には、中学生の私に読ませてやりたいと思った。

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)

獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)

あいもかわらず

鳴かず飛ばずだけど、あいもかわらず、小説を書いている。
いや、そんなには書いていないか。
書こうとしているというほうが正確かも。


小説ではないけれど、楽しい仕事をさせてもらった。
腐敗と錆について書きました。

ふしぎ?おどろき!科学のお話 5年生 (ポプラポケット文庫)

ふしぎ?おどろき!科学のお話 5年生 (ポプラポケット文庫)


去年に引き続き、この本にも、今年も一つ、短い話を載せてもらうことになりました。

蓄音機講座第一回「蓄音機で日本の戦前ジャズの世界を聴こう!」


日本の洋楽史やレコード史を研究なさっている毛利眞人さんが、ご自分の蓄音機とSP盤レコードで、コンサートをなさっていることは、友人から聞いていて、かねがね、一度私も蓄音機の音を聴いてみたいものだと思っていた。
毛利さんは関西にお住まいなので、東京でのイベントはそう頻繁にはないようだが、今回、とてもよい機会があり、箱根まで出かけた。

蓄音機講座第一回「蓄音器で日本の戦前ジャズの世界を聴こう!」


目の前の蓄音機から音が出た瞬間、びっくりした。
電気は一切使ってないと説明されていても、にわかには信じられない。
こんなに大きく明瞭な音が出るものなんだな。
いや、大きく明瞭な音に驚いたのではない。
うまい言葉を思いつかないが、音の生々しさに驚いたのかもしれない。
音の生々しさってなんだと言われてもそれ以上に説明できない。そこに音が立ち上がっていくと言えばいいのか。ライブ感っていうのかな、音楽の言葉だと。
会場となったのは、全国の十二軒の古民家から移築してきた梁や柱を組み合わせて作られたイベントスペース「やまぼうし」 
女優の浜美枝さんが、壊されていく古民家を見かねて移築されたとのこと。
そのどっしりとしたスペースに骨太の音が広がっていくのが、まさに目に見えるような経験だった。空気の圧縮が見えるようと言っては、ますますわからないか。
蓄音機で聞くSP盤レコードの音は、それほどに衝撃だった。


などと、わかったようなことを言っているが、私は音楽は、本当になにもわからなくて、こんなに楽しめたのは、毛利眞人さんの軽妙で、音楽への愛と教養あふれる解説があったからに他ならない。
様々なご苦労があるのだろうと思うが、自分の好きなことを一生の仕事にしている人は幸せそうだと、蓄音器のそばに立つ毛利さんを見て思った。


蓄音器の仕組みについて教えていただけたのも、たいへん面白かった。
合金の針は一回ごとの使い捨て。
レコードの溝に刻まれた音は、針によって読み取られ、蓄音器に伝わり、マホガニーの筐体の中に収められた長い管を通って増幅される。
横の取っ手を回すと、ゼンマイが巻かれ、その動力が一定の回転数に制御され、ターンテーブルを回す。
ああ、すてきだ。蓄音器はなんてバチガルピなんだ、と思ったところで、本末転倒であることに気づく。


蓄音器講座は、全部で六回開催されるそうです。
ところで、どうして蓄音器っていうのだろう。
蓄音はしていないよね。


写真は「やまぼうし」の床の間。

時砂の王

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

時間SFである。
人類の存亡をかけて、時間遡行戦をする人工知性体のお話である。
卑弥呼と恋に落ちたりもするというと、読む気をなくす人もいるだろうけど、そんなものに左右されるようなヤワな物語ではない。
(実は、私も表紙の絵でちょっとひいてしまい、読むのが遅れた。今は、深く反省している。早く読めばよかった)

人類の存亡をかけているので、時間遡行戦において、タイムパラドックスとか、正史の保護とかが、最優先されない話運びがクールでかっこいい。

小川一水の本、全巻読破作戦敢行中!(今頃か、という呆れ顔がいくつか浮かぶ)

日本酒

日本酒を飲んだ。
美味しいので、ついつい飲み過ぎるほど飲んでしまった。
すぐ忘れるので瓶の写真撮らせてもらったが、すでに、どっちがどっちだったか、わからなくなっている。

アスパラガスのフリットと一緒に写っているのは、フリットに合うようなお酒で、もう一つの、末永利幸さんという杜氏さんのお名前入りの方は、優しい味で、これだけを飲みたくなるような味だった、はず。


そうか、お料理や、その時の状況と一緒に写真を残しておくと、記憶を呼び覚ますきっかけになるのか。
今度から、ワインの写真残しておくときも、そうしよう。