2008-01-01から1年間の記事一覧

燭手の一族

ネット上で自分の創作したものを公開したことはないのだけど、考えてみれば、いつもここで、自分は小説を書いていると言い張っているのに、ここを読んでくださっている方には、私がどんなものを書いているか、これっぽっちもわからないわけで、照れくさいの…

速水御舟他

引越し騒動の間に、いくつか見たものがあるのだけど、慢性的に疲れていたし、集中してなかったのか、ひとつひとつの感想を書くほどに、まとまった印象が残っていない。 「大琳派展」―継承と変奏― @東京国立博物館 宗達、光琳、抱一、其一の4つの「風神雷神…

わかったあああ!

先日から、来月発売の『リトル・リトル・クトゥルー』(学研)のカバーデザインを目にするたびに、これって……これって……と思っていた。 これって、やっぱりそうなんじゃないですか。 ああ、こんなことになるなら、末席をねらって、なんとかしてみればよかった…

トロフィー

12月14日に西荻窪で、西荻ブックマークのイベント「超短編の世界」が開催された。会場には東雅夫さん、高原英理さんの姿も見え、こけしや別館の二階がいっぱいになるほどの盛会だった。 超短編というのは、「数十文字から数百文字で書かれた文学」で、今回も…

引越し

前の日記を書いてから、三ヶ月近くが過ぎてしまった。 11月8日に引越しをした。 元の住居から、新居まで徒歩で数分の距離でしかないが、それでも、やはり全ての荷物をダンボールに入れなくてはならないのは同じで、落ち着くまでに、11月いっぱいかかった。 …

オール讀物新人賞中間発表

今日発売の「オール讀物」10月号で、第88回 オール讀物新人賞の中間発表があった。 一次予選通過者の中に、自分の名前をみつけると本当にうれしい。 中間発表は、一次通過作品のタイトルと作者の名前だけが、3ページにわたりずらずらと掲載されているのだが…

コレラの時代の愛

読もう読もうと思いつつ、先延ばしになっているマルケスの『コレラの時代の愛』だが、小説を読むより先に、映画を観ることとなった。 全編、ほら話の連続で、目を離せない。 私にとっては、荒唐無稽な面白い映画だった。 私にとっては、とわざわざことわった…

「舟越桂 夏の邸宅」展@東京都庭園美術館

八月の初めの激しく暑い日に、目黒駅から庭園美術館に向かって歩いていると、手前の交差点のところまできて、急に涼しく感じた。かすかではあるが、気のせいなどでなく、確たる涼感だ。 そうか、森だ。森と水があるから涼しいんだ。庭園美術館を囲むように広…

薦める

本やマンガや作家や詩人や歌人を、誰かに薦めるのが年々苦手になっている。 どうしてだろうと思っていたのだが、最近うれしい体験をして、ちょっと手がかりができた。 考えてみれば、「この本、おもしろいよ」と薦めるのはそれほど苦手ではないのである。 薦…

スカイ・クロラ

オープニングの短い空中戦に続く雲のシーンで、もうこの映画に取り込まれてしまった。雲がスクリーンからはみだしてくる、と思わず身をのりだした。そこに雲が漂っている。 このオープニングの段階で、もう一度観に来ようと決めた。 少し間をあけて、二回目…

蕭白

早くも夏ばて気味。 暑くてビールばかり飲んでいるのがいけないのかも。たまにはワインも飲まなくっちゃ(違 最近どうしてるの? とメールくださった方がいて、そういえば、ずいぶん、どこへ行ったとか、何を見たとか書いてないことに気がつく。 実際、あま…

訃報

SF

7月4日 トーマス・M・ディッシュ 自殺 知性派、無冠の帝王、意地悪な作家。 パートナーの死や、病気。 様々な理由があったのだろうと思うことしかできない。あの腕組みをしたポートレイトを思い出す。 アジアの岸辺 (未来の文学)作者: トマス・M.ディッシ…

訃報 野田昌宏氏

宇宙軍大元帥 野田昌宏さんが亡くなられた。 享年74歳。 先日の、今日泊亜蘭氏に続く訃報である。 いや、今日泊氏だけではない、もう、ずっと訃報が続いているような気がする。 一方的にではあるが、慣れ親しんできた方々が亡くなられていく。 自分が、そう…

『定本 久生十蘭全集』

歿後50年記念出版 小説をはじめエッセーや翻訳等、全作品を殆ど収録した全集 旧全集(三一書房版)の約2倍の分量『定本 久生十蘭全集』全11巻 出るとは聞いていたが、詳しい内容が国書刊行会のHPに発表されていた。 9月刊行予定だそうだ。 ちょっと…

「生誕80年 澁澤龍彦回顧展 ここちよいサロン」@神奈川近代文学館

巖谷國士が監修した「澁澤龍彦 幻想美術館」@横須賀美術館、鎌倉文学館での手作り感あふれる「澁澤龍彦 カマクラノ日々」展、そして今回の神奈川近代文学館での「澁澤龍彦回顧展」、立て続けというほどではないが、この一年間で三回の澁澤展に出かけたこと…

『限りなき夏』 クリストファー・プリースト

限りなき夏 (未来の文学)作者: クリストファープリースト,Christopher Priest,古沢嘉通出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2008/05/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 40回この商品を含むブログ (53件) を見る今日、届いたばかりの本。 日本の読者に向…

国宝 薬師寺展@東京国立博物館 3/25〜6/8

薬師寺展は連休明けの平日なのに、たくさんの人。連休はたいへんな混雑だったようだ。「八幡三神坐像」「聖観音菩薩立像」「日光・月光菩薩立像」「慈恩大師像」「吉祥天像」の順に国宝を巡る。 教科書で見ていた「八幡三神坐像」は思ったより小さい。 「聖…

SFセミナー 2008 5月3日

GWの恒例行事となっているSFセミナーに今年も行ってきました。 本会 1コマ目「Speculative Japan 始動!」出演 荒巻義雄 山野浩一 川又千秋 巽孝之 増田まもる(司会)「恐るべき後期高齢者になった荒巻です」という自己紹介で始まったこの企画。 昨年のワー…

屏風のウラ

2月24日の「近衛家の名宝展」の記事に対して、jinjinさんよりコメントをいただき、しばし、考えこんだ。 酒井抱一はずううっと前に出光美術館で風神雷神図屏風を見に行きました。 裏に花の春と秋の花の絵が描かれていたと思います。 どこかで、抱一が誰かの…

またマンガかい

はいそうです、またマンガです。いや、ちゃんと、お借りした、『文学鶴亀』とかコッパードとか読んでます。山田詠美も川上未映子も、文学界の大座談会も読んでます。でも、やっぱり、マンガでしょう。 聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)作者: 中村光出版社/…

ふたつのスピカ

気がつけば、なにも書かずに一ヶ月。 下の唇のすぐ裏側に、大きな口内炎が出来て、痛くてしかたない。 『ふたつのスピカ』の14巻が出た。宇宙学校での生活も残りわずか。前巻でシュウがあんなことになって泣いたばかりなのに、今巻でもこんなことになるなん…

「宮廷のみやび 近衛家1000年の名宝」展 @東京国立博物館

酒井抱一の『四季花鳥図屏風』を見ようと、先週、上野へ出かけた。 会期ぎりぎりになったので、平日なのにずいぶん混雑していた。 国宝の『御堂関白記』を見て、その場では、実に整然とした日記の書き方を当時もしていたのだな、とびっくりしたのだが、今日…

芋洗坂係長

ちょっと前に名前を聞いたことはあったのだが、昨日初めてテレビで芸を見た。 おかしい。おかしいよ。すごくおかしい。 ジン、ジン、ジンギスカン、だって。 大笑いした後で、この人、一体今まで何やってた人なんだ、という疑問がむくむく湧く。そんなに若く…

新潮社 R-18文学賞

年末に一次通過したと大喜びしたのもつかの間、今日、R-18文学賞の最終候補作の発表があり、そこに残ることはできなかった。また、せっせと書いて、どこかに応募しよう。

戦争と美術

今日の読売の書評欄に『戦争と美術』(国書刊行会)が、佐藤卓己さんによって「戦争画再評価の決定版」として取り上げられている。 長くもない評の、その4分の1くらいが、著作権継承者の複製許可が得られず、この本に収載されなかった藤田嗣治のことについ…

ご存知の方も多いと思うが、関東圏の私立中学の入試は、2月1日から5日の間に集中している。昨日も、一昨日も、駅や電車の中でそれらしい親子連れをたくさんみかけた。去年は私と娘もあの中にいた。今日の雪の中、受験会場に向かった小学生のことを思う。…

こうの史代

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)作者: こうの史代出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/01/12メディア: コミック購入: 23人 クリック: 507回この商品を含むブログ (326件) を見る『夕凪の街 桜の国』のこうの史代の新刊。 戦中の広島、江波から…

『大奥』第三巻

大奥 第3巻 (ジェッツコミックス)作者: よしながふみ出版社/メーカー: 白泉社発売日: 2007/12/20メディア: コミック購入: 7人 クリック: 113回この商品を含むブログ (330件) を見る今日の日まで、マンガ読んできてよかったな、と思わず言いたくなるようなお…

ムンク展@国立西洋美術館

正直、いまさらムンクでもないか、と思いつつ、冬休みに入った娘にせがまれ、年末に行ってきた。娘はちょうど有名な画家の絵が見たくてたまらないお年頃だ。娘のお供で出かけたムンク展だったが、行ってよかった今回の展覧会は「装飾画家」としてのムンクと…

忘却の河

復刊された福永武彦の『忘却の河』の解説を池澤夏樹が書いているという、私にとっては大事件が去年起きたのだが、そんなことを言いながら、本屋に行くたびにすっかり忘れ果てて手に取ることもなく帰ってくる。 こういうことを書くと、忘れないうちにネットで…