戦争と美術

今日の読売の書評欄に『戦争と美術』(国書刊行会)が、佐藤卓己さんによって「戦争画再評価の決定版」として取り上げられている。
長くもない評の、その4分の1くらいが、著作権継承者の複製許可が得られず、この本に収載されなかった藤田嗣治のことについて言及されており、最後は
「藤田の著作権保護が終わる没後五十年まで、あと十年。本書に触発された研究が大きく発展していることだろう」
とくくられている。


以前、国立近代美術館で〈サイパン島同胞臣節を全うす〉を間近にしたとき、それまで断片的な乾いた知識でしかなかった様々なことが、それは藤田嗣治のことに限らなかったのだが、一気に生々しく押し寄せ、とても整理できるようなものではなく、思考停止してしまったことを思い出した。
見てすぐに、少しでも言葉にしておけばよかった。