こわい話 byシジジイ

こわい話はすごく苦手。一度聞くとずっとずっとこわい。小学五年生の時の合宿のきもだめしで、先生がなさった落ち武者が「便所」から出てくる話がいまだにこわい、というもの持ちの良さなのだ。

さきほど、遠くに住む愚弟から電話があった。高校生の頃マッチ似と言われた弟は、その後、渡辺徹似と言われるようになり、最近じゃ、よくいる禿げかけたデブおやじだ。
彼が一週間前から膝を悪くしていると義妹から聞いてはいたのだが、わざわざ電話してきてその原因について話してくれた。

旅行会社に勤める彼は山口の湯田温泉中原中也の故郷)のK旅館(地元じゃ有名)に先週出張で泊まったそうな。
最近ちょっと出世したので若い頃のように相部屋じゃなく一人部屋をあてがわれ、宴会後、さて寝ようと電気を消したところ、キーンと耳鳴りがして、急に女性の声が聞こえはじめたらしい。
なんだろう、なんだろう、と思いつつも酔っていたこともありそのまま寝てしまい、翌朝起きたら、膝が痛くて、痛くて、歩くにも不自由する始末。
脚をひきずり、ひきずり歩く弟を見た別の支店の若い社員が、
「それ、どうされたんですか」
と尋ねるので、起きたら痛くてまともに歩けなくなっていたのだと話すと、気の毒そうに、
「女の人がしがみついてますよ」
というので、
「おまえ、見えるのか、それが見えるのかぁ???」
と驚愕すると、
「見えるというよりも、そう感じるというか、わかるというか・・・それより、それを会社に連れて帰るんですか?」

結局、どうすることもできないまま会社に戻った弟は、早速、同僚たちにこれこれしかじかと話して聞かせたのだが、あっさりと、
「そういうことってよくありますよね」
と言われて、よくあることなのかぁ?とまたまた仰天。
それから一週間、会う人ごとにこの話をしているうちに痛みは和らいできているそうです。
今度の週末は義妹の義弟(弟のお嫁さんの妹のだんなさんってことです)が僧侶なので拝んでもらっとこうかなぁ、とのことでした。

当分、我家へは遊びにきて欲しくないと思う姉でした。