新学期あれこれ

塾の新学期は基本的には二月から始まるのだが、学年によって少しずつ始まる時期が違っていたり、新しいクラスができたり、ここのところずっと、新学期続きだ。
「はじめまして」と子どもたちにあいさつする時、こちらもとても緊張していることが多い。
今週は3年生、来週は4年生と5年生の子どもたちに「はじめまして」ということになっていて、実は、今からかなり緊張している。
自分が子どもの頃、先生が緊張してるなんて思いもしなかった。
私も緊張しているんだよ、とたまに子どもたちに言ってみるのだが、「またまたあ〜」って感じで相手にしてもらえない。


さて、土曜日から『実践小説創作講座』が始まった。
午前中の仕事で「はじめまして」のクラスがあって、自分が子どもたちの前で緊張していたはずなのに、いざ自分が生徒の側になると、途端に、先生の緊張なんてことは忘れてしまう。


初回なので、作品を提出して、先生の講義を聴く。
「主人公は成長せねばならない」
「類型を恐れてはいけない」
の二つに非常に納得。
いつも、最初から主人公の姿が決まっていて、それを説明してるうちに話が終わってしまうので、成長するヒマがない。
仕方ないので、主人公が、キツネやカッパに変容する話を時々書いてみるのだが、これは評価されたためしがない。というか、もうやめろと言われている。あたりまえか。


授業後、そんなつもりはなかったのに、したたか飲む。
なぜか気がついたら、庄司薫の『白鳥の歌なんか聞えない』について、熱く語っていた。
お酒を飲むと、おかしなことがたまに起きるが、庄司薫の話をするとは思わなかった。
先生は横で半ばあきれて、苦笑。
今日になって、庄司薫古井由吉と日比谷高校で同級生だったのを思い出す。


さて、次回から、具体的に作品の講評が始まる。
楽しみだ。


明後日で7年間続けてきた添削の仕事をやめることになっている。
添削の仕事は、子どもが小さい頃に始めた、ささやかな社会復帰だったのだが、私にとってはいろいろなことのきっかけになった仕事で、今の理科の講師という仕事も、元をただせば理科の添削員に採用してもらったことに端を発しているのだし、小説だって、添削の仕事を始めて机に向かう習慣を取り戻し、そこから派生したものだった。
たまたま人に恵まれただけなのかもしれないが、何一つ声高に主張する必要のない、居心地のよい職場だった。


ちょっとした変化の春を迎えている。