小説を習う教室
T教室が、先週の授業をもって終了した。
六年もの間、月に二回ずつ通ってきた場所をなくすのは寂しいし、不安も大きい。
しかし、先生が書くことに専念したいとおっしゃるお気持ちもわからなくはない。
長篇も完成させたい、短編のリクエストにも応えたい、ということになれば、いくらあっても時間は足りないに違いない。
長い間、先生の作家としての貴重なお時間をいただいて、私たち生徒は作品を読んでもらっていたのだ。
そのことを、もっといつも忘れずにいるべきだった。
もちろん、終了の理由は先生の執筆活動のことだけでなく、私たち生徒側の創作への姿勢の問題を含めいろいろあるのだが、私としては、なんにせよ、今はただ、先生の新作が書店に並ぶ日を楽しみにするばかりである。
ところで、古くからの友人が、四月から渋谷の東急セミナーBE で小説創作の講座を持つことになった。
実践小説創作講座 http://www.tokyu-be.jp/seminar/2009040001AT01001.html
http://d.hatena.ne.jp/akiratakenaka/
小説を習う教室というものを不思議に思われる方もたくさんいらっしゃるのではないかと思う。
小説は習ってなんとかなるものなのだろうか、というのは当然の疑問だ。
たぶん、小説は習うものではないと私も思う。
だけど、自分の書きやすい環境に身を置くことは大切だ。
文壇や作家のサロンや、師弟関係というものが消滅してしまった現代においては、カルチャーセンターの小説教室が、少なくとも、私にとって、書きやすい環境とかシステムを提供してくれる一つの場であるような気がする。
私の場合は、25枚ずつ教室に提出して、それが四回分続くと100枚の小説になって、話に始末がついたところで応募してみようかな、という気になってくる、というパターンが合っていたようである。
小説書いてみたいけど書き出せない、とか、書いているけどなんか今ひとつ、と思ってらっしゃる方は、って、それはまさに私のことなのだが、文章をブラッシュアップするためだけにでも、一度、教室なるものに参加してみると、私がそうであったように、ちょっとしたきっかけをつかめるかもしれない。