『第9地区』

この映画からメッセージを読み取るのは、そう難しいことではなく、うちの高校生の愚娘ですら、見終わっていっぱしのことは語っていた。
だって、場所が南アフリカだし、難民である宇宙人が、甲殻類的特徴を備えているとはいえ、二足歩行の人型エイリアンなのに、「エビ」と呼ばれて、難民キャンプに押し込められ、虫けらみたいな扱いを受けていたり、生体実験されていたりする映画なのだから、そこに意味を読むなというほうが無理だ。
それはそうなんだけど、これって、もしかして、ミリタリな興奮呼ぶ映画じゃないの?
というのが、劇場出て真っ先に思ったこと。
「恋愛もの」とか「動物もの」とかと同じようにこの映画を分けるなら「戦いもの」


まだ公開中の映画のことをあんまり話すと、すぐにネタばれだと言われちゃうので、ほどほどにしておくしかないのだが、エイリアンにはエイリアンしか使えない武器というのがあって、それがものすごい威力な上に、パワードスーツまであるのだけど、対する傭兵は、装備としてはそんなにSF的な目新しいものは持っていない。
それにもかかわらず、傭兵が使う火器の方が注意をひく。
あの白く塗ったライフルはなに? 特別なようで特に変わったところがないようで、もうちょっとよく見せて、という気になる。それから、薬きょうをバラバラたくさん落としてたあれはなに? 新しいんだか古いんだかわからない。それから、それから、最後のほうで傭兵が指令船に向けて撃つのにつかったランチャー? あれも、もう一度見たいんですけど。だいたい、発射したロケットだかミサイルだか、パワードスーツに捕捉されて、その後どうなったの? ランチャーに目を奪われてるうちに見逃しちゃったよ。
いや、もう一度見たからって、マニアじゃないのだから、なにがわかるわけでもない。クセみたいなものだ。軍用機が飛んでれば、輸送機なのか戦闘機なのかもろくに区別がつかないくせに、条件反射のように見上げて、どっちからどっちへ行ったか確認するのと同じ。


主人公はあまりにいけすかない小物の男で(でもなぜか世間知らずの奥さんには愛されているんだけど)、話が始まってすぐこいつが痛い目に合うんだなということがわかる。それにしても、傭兵の傍若無人ぶりがすごい。そんなことしてたら、絶対痛い目に合うってばあ、と教えてあげたくなる無法ぶりだ。
ランボーもどきが、器の小さい男と、子連れインテリエイリアンにぼこぼこにされるような話といえばいいのかな。いや、全員が、それぞれ誰かにぼこぼこにされる話なわけだけど。
器の小さい男が、最後の最後に覚悟決めてふんばるところとか、ばらばら現れたエイリアンたちに救われるところとか、キタキタキタ、って感じでよいです。


というわけで、これからの人、ゲロッ、グチャッ、ベチャッと、楽しんできてください。
あ、老婆心ながら、ブラジャーも見逃さないように。