特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技@東京都現代美術館

会期 2012 7/10〜10/8
館長 庵野秀明  副館長 樋口真嗣
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/137/

早く行きたくて、始まってすぐの7/19にさっさと行ってきた。まだ夏休み前の平日だったので、ゆっくり見ることができたが、夏休みの今は、どんな状況だろうか。

まず、入場すると、過去の特撮作品の、ポスター、図面、写真、現物、新たに制作した復刻品などが展示してある。
ウルトラシリーズのあれこれ(なんて一言でまとめていいようなものではないが)、マイティ・ジャック号関連、成田享や小松崎茂の絵等など。
ひとつひとつに庵野監督の愛に満ちた解説がついていて、おろそかにできない。
それにしても、自分が『ウルトラマン』で使われた流星バッジ見て、こんなにテンション上がるとは思わなかった(笑 
いちばん懐かしいと思ったのは『マグマ大使』の金色のロケット! 放映は1966年だったのね。
他にも、ビートルとか、ウルトラホーク1号とか、MATとか、ミラーマンとかスペクトルマンとか書いてたらキリないです。


そして、さて、いよいよ、いちばん楽しみにしてきた樋口真嗣監督の特撮短編映画『巨神兵東京に現わる』 上映時間:9分03秒 の上映会場へ! 

私は特撮にさほどの思い込みがあるわけではない。
テレビを見始める頃には、特撮が普通にあって、特撮というものを意識することもなく、特撮番組や映画をたくさん見て育った世代というだけだ。
そんなわけで、かなりたってCGがこの世に出現した時には、おお、すごーい、すごいものが見れるようになったなあと単純に感動した。
特撮がいいとか、CGがいいとか、悪いとか、どうでもいい。見たい物が見られればいい。

それで、今、この年になって、特撮だけで作られた『巨神兵〜』を観て、なにを思ったかというと、こんなこと言うと、何を言っているんだオマエは、と突っ込まれそうだが、ああ、私の人生、いい時を生きたなということだった(笑
しょうがないじゃない、ほんとにそう思ったのだから。


とにかく素晴らしい。
進化した特撮。
いや、未来の特撮とでも言えばいいのか。
かつて特撮で見ることができなかったものが、この作品の中で完成している。そして、それはCGでは到達できなかった完成なのだと知ることができる。
混んでないことをいいことに、続けて三回観た。
また観たい。
隅々まで観たい。見逃すことなく観たい。


特撮マニアでなくとも、この手の映像が好きでなくても、私と同世代なら、この短編映画の目をみはる部分がすぐわかると思う。
これが経験を積んでるってことなんだよ、と自慢したくなった(ただ、年を取ってるってことに過ぎないのだが)


道路がめくれあがるシーン、爆風でビルが崩壊するシーン、ビルが熱で液状化しつつ爆発するシーンなどなど、おおおおおっと気になったところは、ことごとく、上映会場を出たところで流されているメイキングで確認することができる。
あの原子雲、綿でできてたんだなあー。びっくり。
怖い怖い巨神兵が歩くところも、その怖さはああやって演じられていたのね。
メイキングの中で、仕掛けや爆破が成功する度に樋口監督は何度も大笑いする。監督の笑いに大いに共感する。人はこういう時に大笑いしたくなる。
この作品に対しての感想で、人間や犬が人形であることがいかがなものかというような発言も何度か見たが、むしろ私は好ましいと感じた。特撮だもの!(笑 
あの犬もメイキングに出てきます。


気がついたら思わぬ時間になっていて、その後の、特撮美術倉庫とか、自由に撮影できる特撮ミニチュアステージとかで充分に時間を取れなくなってしまっていた。
秋になったらもう一度行こうかな。


そういえば、テレビで流れたAKB48のプロモーションビデオを、ほんの数秒だけ見た時「何? 何? 今のは何だったの? もっと見せて」と興奮した。
後になってそれが樋口真嗣監督が撮影なさったものだと知って、なるほどなあと腑に落ちたことであったよ。
才というものは隠せないものだ。