「新婚の二人が暮らす部屋」〜中原淳一展〜 byシジジイ

風邪がやっと治りかけてきた。この風邪にはほんと難儀させられた。
この私が今日でもう何日お酒を飲んでいないのだろう。
五日!五日間だ!一滴も飲んでない。しかも最後に飲んだ先週金曜だって、ビールをたった一杯。
我慢したわけじゃない。飲みたくなかった。目の前で飲まれても、ワイン一口だって飲む気にならなかったのだ。重症だったんだなぁ。
って、熱がでたわけでも喉がいたいわけでもなかったのに、なんだったんだろう、この風邪は。
まだ、だるい。大きな口内炎が出来て痛い。

そんな中、東京大丸ミュージアムの「中原淳一展」へ行く。
文化服装学院出た叔母がひたすら中原淳一のファンだった。母と叔母が娘時代を過ごした実家にいくと、納戸の中に色あせた明星と一緒に、それいゆだったのか、ジュニアそれいゆだったのか、いまとなってはわからないが、置いてあった。
その中に、ハンカチを首に巻いてスカーフ代わりにしたり、リボンのように髪に結ぶとこんなにすてきよ、という記事があってまねした覚えがある。

そんなわけで色のついたスタイル画的なものは見慣れていたのだが、一年ほど前に、初めてペン画をみせてもらう機会があり、その線の一本一本が、いかに細かなところでも決して潰れていないのに驚かされた。
ペン画は今回もたくさん展示されており、手描きであるとは思えぬ繊細でありながら確実なラインを、間近でしげしげとながめることができる。

展示作品の中には、絵の他に、ドレスや舞台衣装、人形などもあるのだが、一番、なんともいえぬ大胆な展示は、新婚の二人のために考えられた六畳の部屋のレイアウトを実物大で再現しているものだろう。
ちゃぶ台やおしゃれなパッチワーク風座布団や、何かを転用した背の低い食器棚などがつつましやかに、そしてどこまでも明るく配置されているすてきな部屋だ
でも、この部屋に一週間住める男はいないだろうなぁ。

そう思いながら、この奇妙で現実離れした部屋から目がはなせなくなってる私に、人には言えぬワイルドな恋愛に身を投じている同行者が身をよじらせ、その大きな胸をゆらしながら言った、
「私だって、新婚の頃はこんなふうなお部屋で夫とつつましく温かく暮らしていたのよ」
それがいけなかったんじゃないか?

中原淳一のペン画に興味を持った方には、
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絵だけじゃなくて、人魚のお姫様、イーダの花、カルメン、マッチ売りの少女などお話も読んで楽しい。
私としては「白鳥」が今も昔も好きなお話だ。末っ子のお姫様が、イラクサでセーターを編んで白鳥に変えられた王子達の呪いをとく話。