プーケットの別世界 byシジジイ

プーケットはきっと日本人観光客でいっぱいに違いないなんて思っていたが、見識不足だった。
日本人だと思ってもしゃべり始めると韓国か台湾人。一番多いのはヨーロッパの白人。イスラムとインドとトルコの人もたくさん。ちょびっとアメリカ人。
むやみやたらと怒りっぽいフランス人夫婦とか、人口400万人の国(どこだろう?)から来たぼうず頭の白人とか、服装からみて寒い国から来たに違いない家族とか、何回か海外旅行はしてきたが、こんなに「人種のるつぼ」なのは初めてだ。

タイ人にむかって、各国の観光客が片言の英語でしゃべる。片言の英語はわかりやすくてうれしくなる。もっとも、私の英語はもはや片言ですらなく単語の羅列にすぎない。
タイ語をおぼえようとして、「こんにちは」と「ありがとう」を覚えただけで挫折。ホテルの部屋番号すら満足に覚えられないテイタラクアメリカを一人旅したことだってあったはずなのだが、どうやっていたのか思い出せない。

ホテルの美しいプールのプールサイドでごろごろしていると、各国のカップルがやってくる。
ヨーロッパの男性は本当に大変だな、とあらためて思う。まずはチェアーの調節から始まり、タオルを広げ、彼女を座らせ、パラソルの位置を直し、オイルを塗ってやり、雑誌をカバンから出し、飲物をとりにいき・・・おいおい、リゾートなんだからさ、少しはゆっくりしなさいな、と言ってやりたくなる。そして、こんなにしてもらってもなぜかヨーロッパの女性は不機嫌なのだ。難しい顔をしてソッポをむいて寝てしまったりする。

だからというわけでもないのだろうが、プーケットのにぎやかな通りを歩くと、むやみやたらとヨーロッパ人男性と現地女性のカップルが目立つ。屋台に毛がはえたような小さな店がズラッと通りの両側に並んでいるのだが、これのほとんどが白人向けのバーだ。ちょっと歩いただけでアイリッシュパブが三軒もある。U2 BARと看板が出ている店もある。ピザ屋もむやみとある。プールバーも何軒もある。スイスの山小屋風もある。店の中にはタイ人女性と白人男性しかいない。

どこかでみたような光景だと思った。そうだ、15年か20年か前、六本木や麻布の一角にこんなような場所があった。白人男性と日本人女性だけの世界。でもすでに東京は充分に物価が高かったのでパラダイスは長くは維持できず「不良外人」はいつのまにか姿を消した。

日本人男性が海外で大挙して現地女性を買っては叩かれていたのが遠いことに思えていたが、こんなところにこんな形でマッチョな男社会があいもかわらず形成されていたんだなぁ。

タイに駐在している日本人男性が言うには
「いまどき現地ラヴァーがいるのは白人だけだね。日本人なんておとなしいものさ。」
確かに、いまどきはそうなんだろう。
でも、また時代がひとめぐりしないと誰が言える?

変わらない。そこの部分はなにも変わらない。心も脳も変わらないのだろう。
何かを思い知らされた気がして力がぬけていく。