人情紙風船 byシジジイ

活動写真の女 浅田次郎 集英社(Amazon)
この本は先日、美しい女性から「お化けの話なのよ、読んだからあげるわ」といただきました。
浅田次郎は特に好きな作家というわけじゃないのだけど、あまりにうますぎて、いったん読み始めるとやめられなくなる上に、必ず泣かされてしまいます。
この本も、こんなところでおめおめ泣いてたまるか、と思いつつ、何回かぽろぽろっと涙が出てしまいました。ええい、いまいましい。
だけれども、天才映画監督山中貞雄のことを中心に据え、昭和のはじめの日本映画のことと、その三十年後、学生運動真っ盛りの頃の京都での学生生活という、ちょうどお好みの道具建てで、思わぬ楽しい読書タイムを過ごしました。
日記のタイトルの「人情紙風船」は山中監督の遺作で、作中、撮影所の生き字引、辻さんがこう説明する。
「遺作になった『人情紙風船』を観たときな、おっちゃんはしばらく席から立ち上がれんほどショックを受けたもんや。あとにも先にも、おっちゃんが観た「完璧な映画」は、あのひとつきりや」


内田百輭集成24 「百鬼園写真帖」 ちくま文庫(Amazon)
ずっと続いていたこの文庫全集も、これで全24巻完結。いえ、私はすでに読んでいるものが多いので全部は買っていません。ところどころね、思わず買いましたけど。
写真帖は楽しい。こんなお舅さんがいたらやだなあなんて現実的なような、非現実的なようなこと考えながら見入ります。
「昭和27年の鉄道八十周年記念の際の東京駅一日名誉駅長姿」の特急はとでの写真や駅長室での写真は本当におかしい。おかしくて笑ってしまう。

「奇想の系譜」 又兵衛―国芳 辻惟雄 ちくま学芸文庫(Amazon)
他の本と一緒にAmazonで中身も確認せず頼んで、しばらく読んでからわかりました。この本読んでました。でも、忘れてるし、その本は今は手元にないので後悔してません!してませんとも。
ところで、かわいい私の義妹は大学で彫塑を専攻しました。本当は日本画を専攻したかったのですが、大の鳥嫌いで、日本画に進むと、ウズラなどモデルとなる鳥の飼育をしなくてはいけないので、彫塑へ進んだそうです。そんなわけで、私と彼女は大変仲が良いのですが、若冲をめぐってだけは意見が対立します。
「お姉さん、あんな気持ち悪い絵は、あんまり長いこと見られません」
ほんとうにかわいらしい妹です。ちなみに、私は勿論、若冲の鶏が大好きです。
若冲ってSFだな(ぽそり)