第102回文學界新人賞中間発表

昨年末に応募した第102回文學界新人賞の中間発表があった。昨日発売の「文學界」に一次予選通過者66名の名前と作品名が掲載されたのだ。


自分の名前をみつける。やった、一次予選通過。思わず三省堂の売り場でガッツポーズ!売り場の隅っこにいってもう一度名前を確認。
落ち着いてよくみると名前の上に丸印がついた人が16名ほどいて、この人たちが二次予選通過者とのこと。残念ながら中島晴の名前の上には丸印はなかった。でも、そんなことじゃ喜びは全然トーンダウンしない。
今回の応募総数はわからないが、前回は二千近い応募があったという。その中の66篇に選ばれたのだ。うれしさで爆発しそうだった。


小説を書こうと思い立って二年ちょっと。小説を書くのは楽しいけど、すごく不安だ。なぜなら、自分が書いているものが小説かどうかわからないから。小説は書きたければ誰でも今日から書くことができる。でも、なんの拠り所もないし、読者もいない。ばっかみたいな一人よがりをひたすら書いているだけかもしれないのに、それを確かめる術はないのだ。自分の小説なんて書いた本人だけがおもしろがっているようなものではないかという恐怖が常にあり、気が晴れることがない。


予選通過がすごくうれしい。手放しにうれしい。いちばんうれしいのは私が書いたものが小説になっていると認められたことだ。上手いかどうかなんてレベルの話じゃなく、小説を書けているかどうかすら昨日までの私には自信がなかった。
私の書いた百枚近い作品が、見ず知らずの誰かに最後まで読んでもらえた上に、小説として評価の対象になったことがうれしい。

今回のことで、やっと、書き続けてもいいのだ、と思える場所にまで辿りつくことができたような気がして、心の隅々まで晴れ晴れした。