十一月十九日

晴天。本日も教室は満杯。盛況である。

さて、今回の講評は最近入室なさった方々の初回提出の作品が続いた。
初めて講評してもらった時、私はかなり緊張した。緊張するというのは過剰な自意識のせいともいえるのだが、やはり、いままでほとんど他人の目に触れることがなかった自分の文章が、初めて多くの人の目に触れるばかりか、先生に評価をくだされるというのだから、緊張しないわけにはいかなかったのだ。しかし、実際のところは、評価をくだしてもらうほどには書けてないというのが現実だった。


初回講評の方には、いつも先生がおっしゃることがある。

小説は演説してはいけない。
小説は説明してはいけない。
小説は描写しなくてはいけない

何度も聞いていることなのだが、何度聞いても実践できていないと思う。演説はともかくも、気がつけば説明したがっている自分がいる。説明ではなくて一種の言い訳かもしれない。


最近この場でことさらのように、「私は小説を書く練習をしています」とか「小説を書きたいと思っています」と書いているのだが、最初はこれはなかなかに勇気のいることだった。
「自分にそんな才能があるとまじめに考えているの?」とか「いい年をしてそんな夢みたいなこと言って」とか、誰もそんなこと言わないのに言われるような気がしていたのだ。これもまた過剰な自意識の表れでしかない。
初回講評の方がいるたびに、余計な自意識と小説を書くんだという気負いでパンパンに膨らんでいた自分を思い出す。けれども、ここで宣言している間に、ちょっとずつ小説を書くということが日常的なことになってきた。

自分のスタイルで自分に書けるものを書く。やっと最近少し気負いが取れてきたかもしれないと思う。とかいいながら、やっぱり新しい作品が書けると、鼻の穴大きくふくらませて、書けたぞ!とか言ってしまうのだけど。


さて、T教室の皆様、今年の忘年会は店内に小川が流れ小魚の泳ぐお店で最終授業日に行います。場所はお教室のすぐ裏です。会費は飲み放題で五千円。お申し込みがまだの方は次回の授業日にお申し込みください。