読み散らかしてはいけない 

前回の授業についてなにも書かないでいるうちに明日はもう今年最後の授業だ。


時々、さほど内容に興味がなくても新人賞を取った作品を読んでみようかな、という気になる。新しいものを読むとか、最近の傾向を知るとか、もっともらしい理由はあるのだけど、結局はどんなものが新人賞とるんだろうという興味だけしかない。それで、読んで思うことは二つ。
「うまいなー。これくらい書けないと新人賞ってもらえないんだな」
とへこんでしまうか、もしくは、
「なあんだ、この程度で新人賞をもらえるのか」
とひそかに思い上がるかどちらかだ。
そんな私の心の内をご存知かのような先生のお言葉。

自分が書いてるときは、なにも読んじゃだめだぞ。君なんか、読み散らかしているんだろう。だめだよ。書いてる最中に読むと優越感持つか劣等感持つか、どっちかなんだから。

なるほどなー。
勿論、書いていないときの読書は大いにすべきことであるのだが、いったん書き始めたら自分に耽溺していくしかない。そのへんの覚悟が足らずに、つい他の人が書いたものや、好きな作家の古い作品を読み返してしまうのは、一種のさもしさなんだろう。気をつけないとさもしさはすぐに書いたものに表れる。