一月二十一日 二月四日

据えっぱなしのカメラの前を登場人物が行ったり来たりしているような小説では深まっていかない。

日本の小説は淡々と書くのが美徳かのような思想があるが、たまには脂っこいものも食べたいし、美味しいじゃない。だから、あまり淡々と書きすぎないように。

さて、四苦八苦した今回の課題の提出は、たいそう期限を過ぎてしまったがなんとか提出した。
自分で没頭して書いていると、作中に思わぬ穴があるのに気がつかないということは多々ある。後で誰かに指摘されて、どうしてこんな簡単なことに気づかなかったのだろうと、己のうかつさに驚いたり、恥じ入ったりする。
ところが、今回は書きながら自分が多くの穴を掘っているのに気がついていた。気がつきながらどうすることも出来なかった。時間がなかったせいではない。勝算がないのはわかりきっているモチーフに苦し紛れに突っ込んで行ってしまったのだ。
でもね、楽しかった。負け惜しみに聞こえるだけだとは思うが、手には負えぬタイムパラドックスパラレルワールドモチーフに突っ込むぞ、と息巻いて、結果、そのモチーフにかすりもしないという、笑ってしまうような結果に終わり、それでも、楽しかった。
新しいなにかを書くというのは楽しい。


新年になって、先生の講評は誰に対してもハードルが上がり、かなり厳しくなった。不用意なことを書かない。粗雑な文章を書かない。そして、ずっと言われ続けている問題、自分がなにを書いていきたいのかをはっきりさせる。山積みの問題は簡単には解決しないのだけど、少なくともいつも忘れずにいたい。

次回の提出まで既に一ヶ月足らず。今回から期限に一週間以上遅れると受付してもらえなくなる。宿題は必ず提出するという自分の最低限のルールだけは今年も守りたい。