ジョー・プライスさん@東京国立博物館

プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展が8月27日に東京での会期を終えた。混雑を少しでも避けようと平日の午後遅めの時間に訪れたのだが、やはりそこそこの混雑。他の展覧会に比べ若い人が多い。会期中の来場者は31万7千人とのこと。


バーク・コレクションのときにも同じようなことを言ったけど、誰かが集めたものを見せてもらうのは楽しい。
単に美術品を見るという楽しみだけでなく、ひとつひとつが吟味された結果、個人によって購入されたものだと思うと、若冲の「鶴図屏風」は、即決だっただろうな、と思うし、其一の「漁樵図屏風」は迷っただろうなと勝手に想像する。鈴木其一は好きなのだけど、この「漁樵図屏風」には驚かされた。思わず、へんなのー、とつぶやいたほど。
でも、こんなへんな其一を見ることができるのも、プライスさんがコレクションなさっていたおかげだ。


若冲を見るつもりで訪れた展覧会だったけど、会場を進むにつれて、プライスさんはこんなものも買ったのか。こんなものがお好きなのね。とプライスさんというコレクターにどんどん親しみを覚え、身近な人に感じてくる。


終盤、照明をゆっくり変え、いろいろな時間や季節の光で絵を鑑賞させてくれるコーナーがあった。光の変わり目に、展示された作品がはっとするような様相をみせる瞬間があり、閉館まで時間がないというのに、思わずじっと照明が暗くなったり明るくなったりするのを待ちたくなるような好企画だったのだが、この薄暗いコーナーでふと気がつくと、横にプライスさんが立っていらした。

えっ、えっ、と思いつつ何度お顔を横から見てもプライスさんのようだ。すぐそばなので、こちらを向かれたらご挨拶しようと思ったけど、楽しげにじっと光が変わっていくのをご覧になっていて、チャンスはなかった。明るいグレーのジャケットがそれはもうすてきでした。