「新美術館開館記念特別展 速水御舟―日本画への挑戦―」展 @山種美術館

去年の平塚市美術館の御舟展は、規模も大きく、丁寧でわかりやすい展示で、御舟という画家を理解するにはとてもいい美術展だったのだが、残念なことに、重要文化財である『炎舞』と『名樹散椿』は出展されていなかった。
今回の山種美術館の御舟展ではこの二点が展示された。
『炎舞』は、印刷物では何度も見たが、本物を見るのは初めてだ。
本物はこんな色をしていたのか。
よく知っている絵でありながら、見れば見るほど印象が違う。
ライティングのせいかもしれないが、絵のどちら側に立って見るかによってもずいぶん違う。
御舟本人が「二度と出せない色」と語っている「闇」の色は、到底、凡人には思いつきもしない色だ。


四十歳という若すぎる死によって、変転の途上でパチンと断たれたように御舟の作品は途切れる。
天才らしいと言えばそうなのだが、いたわしい。