海の底  

海の底作者: 有川浩出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2005/06メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 115回この商品を含むブログ (235件) を見る 天気晴朗なれど、波の下には不穏があった。横須賀に巨大甲殻類来襲。 食われる市民を救助するため機動…

先生の新作

今年明けて初めての講義なのだが、もう新年のご挨拶をするにはいささか遅く、どっちつかずの締らない挨拶をみなさんにしてしまう。それがなんとも子供じみていて、早々から恥ずかしい。作品提出日だったのだが、今回は間に合わず、29日の最終締切までに送…

祝! 出版 『母の禁じ給いし歌』小澤亜都子 慧文社

母の禁じ給いし歌作者: 小澤亜都子出版社/メーカー: 慧文社発売日: 2006/12メディア: 単行本この商品を含むブログを見る教室の先進、小澤亜都子氏の初めての著書が先週の土曜日、ついに上梓の運びとなった。 全221ページ、収録作品13作の堂々たる内容である…

グレート・ギャツビー 村上春樹訳

村上訳を読む。 野崎訳では若い頃から何度も繰り返し読んでいて、再読回数ではこの小説は私の中ではかなり上のほうにランキングされる。 野崎訳は会話文にひっかかるところが時々あって、たまに読んでいる途中で、物語の中からひきずり出されるのが難点では…

『大奥』第二巻 よしながふみ

そうか、そうか、二巻はこうきたか。壮絶! みんな読んでるだろうな。おもしろい。というわけで待望の『大奥」第二巻。 舞台は一巻の吉宗から時代を遡り、春日局が大奥で権勢をふるう三代将軍家光の代。若い男ばかりが命を落とす謎の疫病が江戸の町を覆いつ…

『デッドエンドの思い出』 よしもとばなな

よしもとばななの『キッチン』は、出版された当時、単に吉本隆明の娘さんの小説ということへの好奇心だけで手に取ったのだが、読んですぐに彼女の小説の心地よさにひかれ、その後しばらく『TUGUMI』とか『白河夜船』とか『トカゲ』とか『哀しい予感』とか、…

夏の思い出 〜読書〜

高校二年生の思い出十七歳の夏。そう聞くだけで、陽光にきらめく水しぶきや、すらりと伸びた肢体を包む夏の涼しげなワンピースや、ひそやかな恋心の成就や、おずおずと手をつないで歩く浜辺や、そんなものが頭の中をぐるぐるする。人というのは、いつまでも…

入門Haskell―はじめて学ぶ関数型言語

入門Haskell―はじめて学ぶ関数型言語作者: 向井淳出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ発売日: 2006/03メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 94回この商品を含むブログ (138件) を見るご縁があって、時々ご一緒することのある向井淳さんの初めての著書…

レム逝去

今、寝ようとしているところへ飛び込んだニュース。 スタニスワフ・レムさん(ポーランドのSF作家)27日、ポーランドのクラクフで死去、84歳。秘書が明らかにした。タルコフスキー監督の映画「惑星ソラリス」の原作となった「ソラリスの陽のもとに」の…

偶然(読んでない本のメモ)

最近ずっとネットでも新聞でも雑誌でも、相場(自分が投資するわけじゃない)とか宇宙とか、そういう方面の記事ばかりに興味が向いていたのだけど、先日の「愛がなくても喰ってゆけますお食事会」の席で、宮本常一の話をして、それ以来久しぶりにそっち方面へ…

愛がなくても喰ってゆけます

愛がなくても喰ってゆけます。作者: よしながふみ出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2005/04/16メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 7人 クリック: 164回この商品を含むブログ (508件) を見るこのコミックを最初読んだとき、よし!全店制覇だ!と意気込んだ…

amazonとbk1の臭い

いつもamazonを使うことが多いのだが、今回、特典につられてbk1で注文した。 届いた荷物を飼い犬がクンクンしている。なにが届いても犬は臭いを嗅ぐのが常だが今日は嗅ぎ方が激しい。 私はあまり鼻がよくない。しかし、娘は戌年だからなのか、たいへん嗅覚が…

『デス博士の島その他の物語』刊行記念トークショー

三省堂SFフォーラム ジーン・ウルフ『デス博士の島その他の物語』刊行記念 柳下毅一郎さん・山形浩生さんトークショー 「SFに何ができるか――ジーン・ウルフを語る」日時:3月4日(土) 開場17:30 開演18:00 場所:三省堂書店 神田本店8階特設会場 デ…

明治賢人研究会

昨日は久しぶりの明治賢人研究会だった。少人数だったこともあり、前回に引き続き、『明六雑誌』本編には入らず、周辺事情など。 近代化によって、雑誌の読み手が生まれ、その受け手へむけて発信することができるようになったというような話から、雑誌という…

二月十八日 久坂葉子

あいかわらず先生は手厳しい。しかし、厳しいほうが楽しい。いや、自作の講評が回ってきたときには、楽しいなどということもできず、うなだれて、ここに何かを書くことすらできないのかもしれないが。 今回は手記と小説の差異についてのお話があった。 同人…

無能の人・日の戯れ (新潮文庫)作者: つげ義春出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1998/03/02メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 61回この商品を含むブログ (144件) を見るつげ義春夫人である藤原マキの『私の絵日記』を本棚で見つけて、ぱらぱら再読したら、久…

白夜行

白夜行 (集英社文庫)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 集英社発売日: 2002/05/25メディア: 文庫購入: 30人 クリック: 309回この商品を含むブログ (842件) を見る徹頭徹尾、情に流れない小説だ。昼間の陽を浴びることなく、心をなくしたまま薄暗く寒い白夜の中…

功名が辻

夫婦円満のコツは相手の言ったことを鸚鵡返しにすることだそうだ。悪い例 妻「あの犬かわいいわね」 夫「なんて種類の犬なんだ?」良い例 妻「あの犬かわいいわね」 夫「ほんとだねえ、かわいいね」なるほどな、と思った。しかし、考えてみれば我が家ではす…

『順列都市』増刷

朗報である。長らく買えなくなっていたグレッグ・イーガンの『順列都市』が増刷されるそうだ。 訳者の山岸真さんが、正式決定なので多くの人にお知らせしたいとおっしゃっている。 どうしても読みたくて既にネットオークションで高値で買った方も多いのでは…

売れっ子と新人

アルバイトのために石田衣良の本を読んだ。ほんのたまになのだけど、私はマイナーな沿線情報誌に本の紹介文を書いている。主婦のバイトとしてはなかなか効率がよいバイト料をもらえるので大好きなバイト。大好きだけど紹介する本にいろいろ制約がありチョイ…

明治賢人研究会

今回も引き続き『魯庵の明治』の「下谷広小路」の段。 南北戦争の勇者グラント将軍歓迎会やら、「ザンギリのデブの豪放磊落の南画の女先生奥原晴湖」に木戸孝允が潤筆料二百円を支払った話などをゆるゆる読み進む。 新参者なのでよくわからないが、次回でこ…

浅倉久志さん 柳下毅一郎さんトークショー

国書刊行会 R・A・ラファティ「宇宙舟歌」刊行記念 「ラファティの魅力を語る」 浅倉久志さん 柳下毅一郎さんトークショー 日時 11月10日 会場 三省堂神田本店 一夜たってもまだ興奮さめやらぬ私である。なにしろ、あの浅倉久志さんにお会いしたのだ。こんな…

明治賢人研究会

明治賢人研究会にまぜてもらったことが[日常]というカテゴリーに入るのかどうか甚だ疑問だが、さりとて、どんなカテゴリーを作ればいいのか思いつかない。この研究会をどう説明すればいいのか、これまた難しい問題なのだが、とりあえず、いまのところは内田…

大奥

将軍吉宗がとってもかっこいい。女だけど。若い男ばかりが死んでしまう恐ろしい疫病が流行って日本は圧倒的男性不足に陥ってしまう。結果この世界では家業も家督も女が継ぐ。貧乏人は婿をもらうなど死んでもできぬ相談で、小金を貯めて吉原へ行き子種をもら…

あらゆる場所に花束が

あらゆる場所に花束が… (新潮文庫)作者: 中原昌也出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/04/24メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 25回この商品を含むブログ (83件) を見る一週間ぶりくらいにPCの前にいる。なんだか億劫だった。基本的には読み始めた本は最後…

我が愛する詩人の伝記 室生犀星

先週の木曜から甚だ気のふせるようなことがあり、それが昨日なるようになったというか、当然ろくでもない結果をむかえ、いくつになっても人と人の関係は難しいものだと朝から気が重い一日だった。 朝のうちに用があって人気の無い住宅街を歩いていると強い金…

虫けら様

虫けら様作者: 秋山亜由子出版社/メーカー: 青林工芸舎発売日: 2002/05メディア: コミック購入: 2人 クリック: 21回この商品を含むブログ (21件) を見るなんの情報もなく、作者の名前すら知らなかったのだが、ここ十年でいちばんのヒット。手放しの一冊だ。…

龍宮

龍宮 (文春文庫)作者: 川上弘美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/09/02メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (79件) を見る読むんじゃなかった。ショックだ。いや、ショックだなどというのはおこがましいとは百も承知だが。 丁度、自分が…

邂逅の森

邂逅の森作者: 熊谷達也出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/01/28メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (42件) を見るこの本には普通なら手を延ばすことはなかったと思うのだが、少々わけあって読まないわけにはいかず、重い腰をあげて…

この結婚

この結婚 (文春文庫)作者: 林えり子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/08/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る男の人は恋をしないのじゃないかと思っている。こういうと大抵の男性は、男も恋をしますよ、と言う…